EUR/USD: 市場、ありえない凄さじゃないですか?
- 市場ではインフレデーターの発表を控え、週の前半をとおしてEUR/USD は0.9700 の横ばいの推移でした。そして10月14日(木)にアメリカ労働統計局が発表した最新の消費者物価指数 (CPI)は予想を上回る結果となりました。先月一カ月間の9月のCPIの伸び率 は予想の0.5%に対して0.6%となり - 年間では予想の6.5%と先月の6.3%に対して6.6% でした。
マーケットの最初の反応は、かなり予想どおりでした。DXYドル指数は113.94 ポイント (9月28日の20年ぶりの高値114.79を更新)に急騰、10年債利回りは14年ぶりの高値更新で4.08%、EUR/USD は0.9630の水準となりました。ドルと逆相関のリスク関連資産は下落しました。 S&P500インデックスは2.4%の下落で2年ぶりの安値更新でした。ダウ・ジョーンズ、暗号資産についても同様の推移でした。
しかし、1時間も経たずに異常な事態となりました: すべての市場が突然、すごい勢いで180度変わりました。 それも、何の前触れもなくです。
ドルが急落を始めました: DXY は112.46まで下落、EUR/USD は0.9800を突破しました。対照的に、S&P500 は、木曜日終了時までにプラスに転じ、2.6%まで上昇しました。アナリストは、このようなセンチメントの変化とリスク志向の急激な高まりの主な理由として、株式市場でかなりの売られ過ぎていることを挙げています。 景気後退期には、株価は約30%下落すると言われています。2022年の現段階でS&P500 は27.5% 下落しています。つまり、一部の投資家が既に底を打った、もしくは、底に近いという判断をして買い始める時期です。米国市場の大量のプットオプションが最近、買われて利確で生じた法定通貨がリスク資産の購入に充てられたのです。
先週の出来事にもかかわらず、米連邦準備制度理事会によるさらなる利上げについての市場の見解には変化がありません。ビリオネアの投資家であるレイ・ダリオ氏がアメリカは、負債、政局の不安定、外交対立が絡んだ:"破滅的な事態" の課題に直面すると警告しています。しかし、その一方で、FRBにはインフレ対応手段にほかの選択肢がありません。
11月2日の次回のFOMC (連邦公開市場委員会) の会合では、政策金利が75ベーシスポイント(bp)に引き上げられると市場は確信しています。北米最大手の金融デリバティブ取引所であるCMEグループは、この確率は、おそらく90%以上だと推測しています。さらに、12月も75 bpの利上げの可能性があります(もしくは、12月は50 bpと2013年の第1四半期に50 bp)。利上げのピークは年率で4.93-5.00% 水準と予測されており、この利率は2014年まで続く可能性があります。
ヨーロッパでは、ECB のスロバキア中央銀行のピーター・カジミール総裁が“10月に75bpsを利上げするのが適切”と先日、発言しました。しかし、これについて、市場はほとんど反応しませんでした。
コメルツ銀行のエコノミストによる欧州規制当局が来年3月まで3.0%しか利上げしないとした推測は変わらないままです。つまり、米ドルのレートには、まだ、到底及ばないことでしょう。
また、エネルギー危機やウクライナ侵攻によるロシアへの制裁もユーロに圧力をかけ続けています。コメルツ銀行のアナリストによれば、ユーロの回復が見られるのは投資家が来年、危機終焉時をさらに確信した頃になります。その間は、“強硬な金融引き締め政策や著しく強い米国経済で米ドルは国際的な投資家のお気に入り通貨となります” と記述しています。
つまり、短期的には EUR/USD は下落に向かったままです。なお、DBS 銀行のストラテジストの予測によると、重要なサポートレベルである0.9600をまさに下回ることになれば、2000-2002年に観測された0.8270-0.9500の範囲まで下落する可能性があります。
9月の米小売売上高とミシガン大学消費者信頼感数の発表を受けたEUR/USD は、10月14日金曜日のこの予想の執筆時に0.9750 の水準で取引されています。アナリストの55% は、今後も下落は続くと見ており、35% が上昇予想、残り10% は横ばい傾向の見方です。D1のトレンド系インジケーターでは90%が赤で10%が緑です。 オシレーター系ではかなり異なっています: 40%だけがこのペアの売り、15%が買い、 55% が中立の立場です。
EUR/USD の直近のサポートは0.9700、続いて、0.9670、0.9630、0.9580、そして、最終的には9月28日の安値 0.9535です。弱気筋の次のターゲットは、0.9500。レジスタンスレベルと強気筋のターゲットは次のようになります: 0.9800-0.9825、0.9900、当面の課題は0.9950-1.0020の範囲に戻ることであり、次のターゲットは1.0130-1.0200付近です。
来週の予定の注目は、10月18日(火)のドイツのZEW景気動向指数の発表です。ユーロ圏の消費者物価指数(CPI) が明らかになります。10月20日(木)は製造業や住宅市場のデーターの発表があります。
GBP/USD: イギリスは路線変更
- 全般的にGBP/USD のチャートはボラティリティを除けば先週のEUR/USD のチャートに似ていました。最安値は1.0922で最高値は- 1.1380、つまり、5日間の変動幅は450ポイント以上となりました。
今週発表されたイギリス経済の統計はまちまちのようでした。10月14日(金)はリズ・トラス首相がクワテング財務長官を解任したという大きな出来事の日でした。この出来事を受けた今、市場はイギリスの次期ミニ予算の詳細を控えているところです。次期財務大臣には前イギリス外務大臣のジェレミー・ハント氏が起用され、リズ・トラス首相は財政政策を大幅に変更することを発表しました。しかし、これは今のところ、あまりイギリス通貨には貢献していません: 週取引最終時では1.1200付近でした。
中央値予測では、多くのアナリスト (75%) が弱気サイド、25%が中立の立場で、ポンド上昇の支持は0です。D1のオシレーター系では、60% 対40% で赤が優勢です。トレンド系インジケーターでは15% だけが赤で、40%が緑、残り 45% がニュートラルグレイです。
直近のサポートは、1.1100、1.1055、1.0985-1.1000、1.0925です。これに続いて、1.0500-1.0740、そして9月26日の安値1.0350が控えています。このペアが上昇すると、強気筋は、1.1300、 1.1350、 1.1400、1.1470、1.1500、1.1610、 1.1720、1.1800 、1.1960でレジスタンスに直面します。
イギリスのマクロ統計発表については、ユーロ圏と同様に10月19日(水)に消費者物価指数(CPI) があり、9月のイギリスの小売売上高が10月21日(金)に発表されます。
暗号資産(仮想通貨): 2024年10月9日のBTC はいくらになるでしょう?
- 暗号資産市場は、10月13日まで比較的穏やかでした。下落圧力にもかかわらず、BTC/USDは$19,000付近を維持してかなり安定しているようでした。しかし、アメリカの消費者物価指数(CPI)が明らかになると、S&P500株価指数、ダウ・ジョーンズ、ナスダックに続いて急落しました。しかし、6月19日の安値$17,940までいかず、$18,155の底値を打つと株価指数に続き、反発となりました。このレビューの執筆時点の10月14日(金)の夕方、$19.375の範囲で取引されています。
アムステルダム証券取引所のトレーダー、マイケル・ヴァン・デ・ポッペ氏によると、ビットコインの相場のボラティリティは、10月後半に大きくなるとのことです。米国のインフレデーターに加え、小売売上高と労働市場の推移がウォール街と暗号資産市場の両方に大きな影響を及ぼすことになります。次の重要なポイントは、FRBが0.75%の利上げをする可能性が高い11月上旬です。これを踏まえ、JPモルガンのストラテジストは、S&P500インデックスの20%程度のさらなる暴落があると予測しています。つまり、2022年の初めに米国の大手500社に投資した人の含み損は44%を上回ります。しかし、多くの暗号資産投資家は、最近のイギリス危機の場合のようにビットコインが 今回はデジタルゴールドとして機能して、ほかの資産に続いて崩壊しないことを期待しています。この期待通りになるかは、近いうちに明らかになるでしょう。
最新のアナリスト予想を色別にすると、次のようになります: 短期予想は、黒、中期予想はグレー、長期予想が青。
黒では、今回、Braiinsのマイニングアナリストであるザック・ヴォエル氏に注目してみましょう。同氏は、最近、過去の弱気サイクルにおけるBTCの価格パフォーマンスを反映するモデルを共有しました。ザック・ヴォエル氏は、過去のすべての期間の高値から安値の間の相場推移を研究して、これに基づきBTCの相場が $13,800に下落すると予想しました。
同氏は2011、そして、2013-2015、2017-2018と同様に2021年11月に始まった現在のサイクルでビットコインの相場推移を調べたことについて強調しました。同氏よれば、暗号資産はピーク時の80%以上下落したことが過去2回あります。歴史が繰り返されるなら、少なくともこの水準までの下落やそれ以上の下落の可能性があります。同氏は、特に、2011年の弱気サイクルでBTCの価値が95%も下落したことを指摘しています。しかし、これは暗号資産が一般的に知られていない頃であり、大量に導入されていませんでした。
ヴォエル氏は、マイナスのセンチメントにもかかわらず、ビットコインが2022年第3四半期に最も利益を上げた資産であったとも言及しています。デジタルゴールドは、この数か月間、かなり安定しています(NYDIGの公表した統計によれば、BTC以外に第3四半期に利益があったのは貴金属と法定通貨の米ドルだけです)。
次に最後の2022年第4四半期に起きることについてです。ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアストラテジスト、マイク・マクグローン氏は、2022年末までにビットコイン価格が上昇すると予測しました。デジタルゴールドとイーサリアムは、景気後退期に多くの主要資産を上回る傾向にあります。そこで、同氏は中央銀行による利上げを“追い風”と呼びました。 そして、10月は2014年以来、ビットコインにとって最高の月であると述べました。同時に、同氏はイーサリアムがProof-of-Stakeコンセンサスアルゴリズムに移行することで、ETHとBTCがそれぞれ$1,000 と$20,000水準を超える足固めをすると考えています。
イーサリアムとビットコインのこのレベルは、投資家にとって確かに印象的なものではありません。そのため、ブルームバーグインテリジェンスのストラテジストによるこの予想は、グレーに分類されます。それでは、青のシナリオに移りましょう。
チューダー・インベストメントヘッジファンドのトレーダーであり、創設者のポール・チューダー・ジョーンズ氏は、CNBCとのインタビューでビットコインのポジションをもったままであると語っています。こちらのインフルエンサーによれば、資産額の大きさが一番と二番の暗号資産は、あまりにも巨額なために“いつか” は価値がでるとのことです。
ラウル・パル氏によれば、FRBが金融引き締めによるインフレ対策計画を退けたときが、その時だそうです。こちらのリアルビジョンの創設者であり、元ゴールドマン・サックスのチーフエグゼクティブは、マクロ経済の背景による暗号資産投資が投資家にとって魅力的に見え始めていると述べています。多くの投資家は今、世界の金融システムがまもなく崩壊するのはないかと恐れており、極度の恐怖に陥っています。そして、これはビットコインやアルトコインのようなリスク資産の上昇誘因になり得るのです。
同氏によれば、投資家はかなり消極的であり安全策を講じています。以前の市場には信じられないほどの巨額の投資がありましたが、現在、市場は買い手より売り手市場で機能していません。この状況がFRBに金融緩和を促すことになるかもしれません。
“売り手だけで、市場には現在流動性がありません。 これは将来大きな問題になると思います。最終的に企業がさらなる通貨供給や市場の状況変化を求めることになります” とラウル・パルは述べています。つまり、中央銀行が、また、紙幣の増刷をすると、ビットコインやアルトコインのようなリスク資産が上昇します。 “悲しい事態ですが、これが現状です” と同氏は述べています。“変化する時を見極め、暗号資産に投資すればこれを有利に活用できます”。
Dave the Waveで知られている有名な暗号資産アナリストは、2021年5月のビットコインの暴落を見事に予測しました。同氏は、現在、ビットコインの市場時価総額が金と長期的に同等になれば、ビットコインが40倍ぐらいに上昇すると考えています。同氏よると、この世界的な目標は20年以内に達成される可能性があります。
ブロックチェーンセンターのレインボー価格チャートも楽観視できないようです (予想とは多少異なります)。これは、過去の価格統計が将来的な資産予想に役立つことを示唆します。長期的に、このグラフは、ビットコインが2024年10月9日までに$626,383の6桁に達する可能性を示しています。 ビットコインは、“最大のバブル領域”になり、そして、濃い赤でマークされます。
さらに、このチャートは、現在の暗号資産の冬が底を打った可能性を示しています。注目すべきは、ビットコインの現在の価格が“バーゲンセール” (青)に推定された領域にあることです。別の強気相場に先駆けて、レインボーチャートも$86,151で資産が取引される年末にビットコインの “HODL(ホドル)” の状態が有効になると示しています。
カラーバーは、科学的根拠のない純粋な対数回帰に従っています。さらに、バンドはより良い方法で過去の期間と一致するように調整されています。しかし、チャートの作成者は、これは少なくてもビットコインの将来的な収益の可能性を見る上で興味深いと注目しています。
この執筆時点では、暗号資産の時価総額は0.927兆ドル (一週間前は0.946兆ドル)。Crypto Fear & Greedインデックスは7日間で23ポイントから24ポイントの1ポイント上昇で非常に恐怖のままです。
NordFX Analytical Group
注意: こちらの内容は金融市場への投資推奨やガイドラインではなく情報提供のみを目的としています。金融市場の取引には、リスクが伴うため入金した資金のすべてを失う可能性もあります。
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